社会人・大学生のための看護系受験研究会
スコレー・アスコルー

面接・集団討論対策

「面接準備メモ帳」好評発売中

面接試験でよく聞かれる質問を中心に、どのように答えたらよいのか、メモを書きながら練習できる「自分で書いて練習する「面接準備メモ帳」 ~面接でよく聞かれる質問30~」を発売しています。

面接準備メモ帳」では、志望動機職務経験など、面接でよく聞かれる質問を30項目をピックアップ。質問に答える際どのような点に気をつけたらよいか、アドバイスを掲載しています。それを読みながら、自分でメモを書き込み、面接の準備を行ないます。また、個別面接集団討論で気をつけたいマナーや態度、話し方など、面接試験に臨む際の基本姿勢についても掲載しています。

面接対策や願書作成の参考に、「面接準備メモ帳」をご活用ください。

自分で書いて練習する「面接準備メモ帳」 ~面接でよく聞かれる質問30~

面接試験の内容と対策

面接試験はほとんどすべての看護大学・看護学校の入試で実施されます。(面接がないケースは、専門学校ではほぼありません。大学の一般入試で、純粋に学力で判定される場合に、一定数、面接なしというケースがあります。しかし、推薦入試や社会人入試で面接がないというところは、専門学校はもちろん、大学でもほぼありません。)しかも、看護系入試ではその職種の特性から、コミュニケーション能力をチェックする面接試験は非常に重視されると考えなくてはなりません。しっかり時間をかけて準備しましょう!

現在入試で行われている面接試験の主流は、個別面接です。個別面接は、面接官2~3人と受験生1人で面接を行う方式です。しかし、集団面接や集団討論(グループディスカッション)が実施されることもあります。集団面接は受験生が複数になるだけで、質問内容は個別面接とだいたい同じと考えておいてよいでしょう。一方、集団討論(グループディスカッション)は「面接」とはだいぶ違うものなので、後で詳しく説明します。

まずは、もっとも一般的な「個別面接」方式を想定したうえで、チェックされるポイントを大きく3点にまとめておきたいと思います。


①身だしなみ・言葉づかい・あいさつの仕方・表情や態度
◆髪型や服装などは甘く考えない
面接官に「この人は常識を知らないようだ」と思われたら終わりです。実際の病院では、女性の茶髪や濃すぎる化粧、男性の長髪やヒゲに不快感を感じる人もいるということを忘れないでください。
なお、髪型や服装などは、面接試験のときだけでなく、筆記試験の本人確認の際にもチェックされていますよ。決して油断しないこと。
◆笑顔でハキハキ話す。面接官の目(や顔)をきちんと見て話す
視線をあわせずに話し続けてしまう人が意外と多いです。下を向いて、ボソボソとしゃべるのは、一般の社会でもそうですが、やはり印象は悪いです。くれぐれも気をつけて!
◆言葉づかいは礼儀正しく! 敬語の使い方も適切に
フレンドリーな雰囲気であっても、うっかり「ため口」になったりしないように!営業職の経験などのある方なら基本中の基本ですが、大学生など社会経験の少ない方は要注意。
◆座っているときの姿勢を崩さない
女性なら軽く手を重ねた姿勢で、男性ならこぶしを握ってモモの上。背筋も伸ばす。話している最中、やたらと「手ぶり」を入れるも不自然。
◆あいさつやおじぎも、事前にしっかり決めて実行
あいさつやおじぎの所作が面接で大きな配点を占めるということはありません。しかし、入退室時の「失礼します」や、面接開始時・終了時の「よろしくお願いいたします」「本日はどうもありがとうございました」のような挨拶も忘れずにしっかりと行うことで、相手の印象がよくなることがあります。そうした印章点が、他の受験生と点数が同じになったときに、どちらを合格させるか最後の判断の決め手になる可能性もあります。なお、こうした所作が、「ながら」動作にならないように注意!


②協調性、コミュニケーション能力
◆きちんと「対話」をする
相手の質問をしっかり聞き、冷静に把握してから答えてください。面接試験では、これがきちんとできることが、いちばん大きな評価の要素となります。
むろん、想定される主要な質問に対してどう答えるかは、事前に十分考えて準備しておかねばなりません。ただし、事前に準備した原稿を一字一句暗記して臨もうとするとかえって不自然になります。相手が質問してきたこと、相手が聞きたいことに答えず、事前に準備した原稿の内容を答える答弁をすると、非常に面接官に与える印象が悪くなります。「どうしてこの受験生は、質問されたことに答えないのだろうか?」と思われてしまいます。「答えたくないのだろうか?」と判断されると、追撃のツッコミが始まります。受験生が圧迫面接だと感じる面接試験のルートに突入する可能性が高まります。
原稿作成は話す内容を整理するという点では有益な作業ですが、必ずしも一字一句、その通りにしゃべるというものでもないので注意してくださいね。
◆相手に伝わりやすい話し方を心がける
答える際には、まず相手の質問に対し端的な「答え」にあたる内容を簡潔に示し、そのあと具体的に詳しく説明を加えていく話し方を心がけるとよいでしょう。看護師の仕事には、「相手にわかりやすい(伝わりやすい)話し方ができること」が常に求められます(それは小さな子どもから高齢者まで老若男女を問わないのです)。要を得ない話し方では、面接官に不安を抱かれてしまいます。
◆途中で固まってはいけない
多くの学校では、下にあげたような定型的な質問をベースにやりとりが進みますが、場合によっては想定外のことばかり聞かれたり、かなりの「圧迫」を受けたり……ということもあります。そういうときは、とにかくあわてずに受けこたえすること。話す内容がまったく浮かばず、真っ白になってしまったとしても、「申し訳ございません、その点については自分の考えが整理できておりません」と謝ればすむではありませんか。「固まってしまう」よりははるかにましです。
「固まって答えない」「聞かれたこととは違うことを答える」「答えられずに泣き出す」というのは、面接試験での3大NG行動です。くれぐれも注意を!


③この道を進むという強い熱意・意欲・覚悟
①②をクリアできたら、最後の決め手はやはりこれ。「看護」という仕事に対するこだわりの強さをきちんと伝えられるか、です。
たとえば、看護師を志望する理由を問われれば、みなさん、さまざまな「きっかけ」や「いきさつ」を語るでしょう。それはよいのですが、困るのは、「いきさつ」だけで終わる人がたいへん多いことです。「きっかけ」「いきさつ」をいくら細かく積み上げても、根本的な「理由」にはなりません。大切なのは、看護師の具体的な仕事内容のどういうところが自分にとって魅力なのかを明確にすることではないでしょうか。医療従事者と呼ばれる人たちの職種は実に多彩です。数ある仕事・職種の中で、なぜ「看護」なのか。なぜ医師や薬剤師や理学療法士や介護福祉士等々ではダメなのか。そのところをしっかり自分の言葉にしてください。


★面接試験・想定質問ベスト10★ どのように話すか、じっくり考えてみましょう!
Q1.なぜいま看護師をめざしているのですか?
Q2.本校を受験されたのはなぜですか?
Q3.将来、どんな看護師を目指しますか?
Q4.自分の性格の長所と短所を言ってみてください。
Q5.これまでの社会人経験で学んだことは何ですか?
Q6.周囲の若い学生たちとうまくやっていけますか?
Q7.これから勉学に専念できる経済的な裏づけはありますか?
Q8.ご家族の理解は得られていますか?
Q9.健康のために気をつけていることは?
Q10.○分間で自由に自己PRしてください。

集団討論(グループディスカッション)の内容と対策

看護学校の社会人入試・一般入試では、2次試験で「集団討論(グループディスカッション)」が実施される場合があります。募集要項には「面接(面接試験)」としか書いていないのに、実は集団討論(グループディスカッション)だった……なんてこともよくありますから、注意しておきたいですね。

具体的な内容は学校によって千差万別ですが、1グループ5~7人・討論時間は20~30分位が平均的です。机の配置も机を「コの字」型に並べて行う場合、イスを円形に並べて行う場合など、いろいろです。

与えられるテーマは、「医療や健康に関して、社会的に議論になっている話題」の場合もあれば、「日頃の生活態度に関わる一般的な話題」の場合もあります。前者も多いので、ふだんから医療や健康に関わるニュースに関心を抱き、自分なりの感想・意見をまとめておきましょう。


<東京近郊の学校の集団討論の実施例>
東京近郊の学校における集団討論の実施例をいくつか紹介します。

・東京女子医科大学看護専門学校(社会人入試/一般入試)
2020年度入試から、集団討論が導入されている。
8名で20分。試験官は3人。受験生が教室に入って席に着席すると、試験官からテーマが発表され、同時に討論がスタートする。試験官から特に「始め」等の合図はない。進め方などもその場で自分たちで決めることになる。協調性だけでなくリーダーシップなどを評価している可能性がある。
テーマは、「女性の社会進出について(2020年度・社会人)」「電車内で化粧をする行為についてどう思うか(2020・一般1期)」など、女子教育を掲げている学校らしく、女性に関わるテーマが多いようだ。

・東京新宿メディカルセンター附属看護専門学校(社会人入試/一般入試)
6~7人でコの字に並べた机に座る。テーマが発表され、そのとらえ方が簡単に説明されたあとに3分間、自分の意見をメモする時間を与えられる。それから30分間の討論を開始。
最近のテーマは「子どもの夏休みの宿題の是非」「自転車の運転免許制導入の是非」「子どもたちが街の人に挨拶をしないように学校から指示されている問題」「宅配便の再配達の有料化の是非」「子どもにリードをつけることの是非」「食品表示」「外国人看護師・介護士」「赤ちゃんポスト」「予防医療」「LINEの欠点と利点」など。社会的に賛否両論があるテーマが好んで出題される傾向がある。

・八王子市立看護専門学校(社会人入試/一般入試)
6人で20分(受験者数によっては、3人で15分)。受験番号が書かれてある座席に、円形に座る。座席に課題が書かれた紙が置いてあり、それを見てから自由に討論する。最近のテーマは、「住んでいる街のよいところ」「普段大切にしていることと、それを看護にどう活かすか」「あなたにとっての幸せ」「東京オリンピックの是非」「自分の成長のために取り組んでいること」「東日本大震災から学んだこと」など。八王子市立の小論文は社会問題をとりあげたものが多い一方で、集団討論では、比較的身近なテーマを題材にすることが多い。

・横浜実践看護専門学校(社会人入試/一般入試)
15~30分。ホワイトボードの前にコの字形に座る。座席はボードに指定されている。紙とペンが与えられ、各自討論内容についてメモを取ることができる。「協調性」「新設」「優しさ」のような抽象的なものが多い。

・横浜労災看護専門学校(一般入試)
4〜5人で20〜30分。円形に座り、課題について自由に討論する。テーマは、「SNSの利用法について」「さとり世代と自分たちの比較」「自分のクラスでいじめがおこったときの対処法」「看護師の資質」など。比較的身近な問題に関わるものが多い。

・上尾市医師会上尾看護専門学校(社会人入試)
6人で10分。半円形に座る。2人1組になり、一方が他方に自己紹介する。その後、自己紹介を聞いていた側が、相手を他のメンバーに他己紹介する。時間がシビアで、うまくまとめ、自己紹介と他己紹介を入れ替えないと、自己紹介しかできなかったり、話が途中で終わってしまったりする。

・川口市立看護専門学校(社会人入試/一般入試)
6人で20分。集団で絵を描くなどのグループワークが課せられる。討論の場合は、「新型インフルエンザの予防接種に優先順位をつけることに対して賛成か反対か」「臓器移植法改正のメリット・デメリット」などの医療に関わる時事的なテーマ、「川口のよいところ」といった身近なテーマが出題されている。

・さいたま市立高等看護学院(社会人入試/一般入試)
6人で20分。「障害者が求める普遍的なニーズ」「悩んでいる人にどう接するか」といった、人間関係や他者へのかかわりについてのテーマが多いようだ。

・慈恵看護専門学校(社会人入試)
・慈恵柏看護専門学校(一般入試)
・慈恵第三看護専門学校(一般入試)

5人で10~15分程度。半円形に座る。近年のテーマは「団結すること」「自分の宝物」「幸せ」「自分にとって大切な時間」「信頼について」「健康管理」「ペット」「子供たちが生活しやすい社会」「日本の良さについて」など。比較的抽象的なテーマが多い。

・千葉医療センター附属千葉看護学校(社会人入試)
4人で25分。テーマは、「消費税を10%に引き上げることについて」「高齢ドライバーの免許返納について」「介護ロボットについて」など。社会問題・問題に関わるテーマが多い。

*参考:聖マリアンナ医科大学看護専門学校(社会人入試)
6人で20~30分。集団討論ではなく、独特な「グループワーク(集団作業)」が実施されることで有名です。各自が描いた絵を用いて一つの物語を作る、封筒に入っている紙を交換し合い一つの絵を作るなど、実にユニークな内容。


最後に、集団討論に臨む際の注意点をいくつかまとめておきましょう。

◆集団討論は、人物評価の場であって、おしゃべりの場ではないことに注意する
当たり前のことなのですが、集団討論は、人物評価の場です。どういうことかというと、学科試験で満点を取ったとしても、人物評価が低ければ、それだけで不合格になりうるということです。そのことは、頭の片隅に置いておいてください。まれに、話が与えられたテーマから脱線し、世間話を始めてしまう人がいます。他の受験生のことを「あんた」呼ばわりする人もいます。他の人に反論ばかりする人もいます。集団討論は、そうしたおしゃべりの場ではありませんし、おしゃべりを始めてしまった人が合格したという事例もほとんどありません。注意してください。


◆他の人の発言をよく聞いて話す
集団討論を実施するねらいは、看護師・医療従事者としてふさわしい、適切なコミュニケーション能力を持っているかどうかをチェックすることです。逆に言うと、発言内容そのものはさほど評価対象になっていないのではないかとも考えられます。私たちの指導経験上、発言内容がどんなに充実していようと、ひとりでその場を仕切り、べらべらとしゃべり続けるような人は不合格になることが多いようです(看護師の実際の仕事を想像してもらえればすぐにわかることなのですが、患者の話を「聞く」ことは看護師の重要な仕事です。そして患者から聞いた話をわかりやすく整理して医師に伝えたり、医師の話を患者がわかるように説明するといった能力が必要です)。
ですから、集団討論に臨むときには無理にすばらしい発言をしようとか、他の受験生を言い負かしたりしようなどと気負わないことが大切です。まずは他の人の発言をしっかり聞く。他の人の話を聞いているときには話し手のほうをきちんと見てください。自然にうなずいたりするのも好感度高いです(やりすぎると逆に不自然になりますが)。そのうえで、自分の意見をわかりやすく述べること。下を向いて話してはダメ。きちんと顔を上げ、笑顔で「語りかける」ようにしてください。


◆司会役を務めるかどうか?
集団討論については、「司会役」を務めたほうがよいのかどうか、という質問をよく受けます。司会役の有無についての指示は普通出されませんので、司会役を置くかどうかはそのグループの判断によります。とくに司会役を立てずに討論を進めてもかまわないわけですが、その場合も、「議論を仕切る人」は自然と決まってくることが多いようです。
看護学校での集団討論は、他の種類の試験に比べても「協調性」「空気を読んで発言する能力」が重視されます。司会役を務めたからといって、それだけで高い評価を得られるとは言えません。どのような立場をとるにせよ、「自分だけがうまく話す」のではなく、討論そのものがうまく進むように貢献する姿勢をきちんと示してください(脅しをかけるわけではありませんが、討論が破綻した場合、グループ全員が不合格になるといったこともありうるわけです)。
ただし、討論開始後に発言する人がなかなか出ずに沈黙が続いてしまうといった場合には、自分から積極的に口火を切り、話を進めてください(とくに社会人経験が長い人には、そうした役回りが暗黙のうちに期待されがちです。周りを見て自分が年長だと思った場合はなおさらです)。


◆事前によい雰囲気を作っておく
「待ち時間」が相当あるようなら、同じグループの人たちに軽く挨拶しておくのもよいですね。(「よろしくお願いします」「みんなでがんばりましょう」など。)そのほうが、討論に入ってからお互いに発言しやすいからです。集団討論では、自分だけ目立とうとするような態度は禁物。「みんなで力を合わせて良い討論にしよう」という気持ちで臨みましょう。



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