医療・健康にかかわる基本用語集

 面接や小論文の試験で出題されることの多い医療・健康にかかわる基本用語集です。みなさんの勉強にお役立てください

■院内感染

 病院や医療機関内で細菌やウイルスなどの病原体に感染すること。病院は病気の治療をする場だが、さまざまな病原体に感染した患者が集まり、薬剤耐性菌も多く生息しているため、もともと感染症が発生しやすい危険な場所ともいえる。そのため、感染症の集団発生を防ぐための厳重な対策が求められる。

■インフォームド・コンセント

 医師が患者に対し、病状や治療法について十分に説明し、患者の同意を得た上で治療を進めること。「患者の権利」と「医師の義務」という2つの面からなる法的概念だ。

■EBM(evidence based medicine)
■NBM(narrative based medicine)

 EBMとは、「科学的根拠に基づく医療」の意。臨床試験などで有効性の根拠がはっきりしている薬や治療法のこと。多くの患者に適用できる「標準的な治療」を確立しようというねらいで、90年代後半から重視されるようになり、EBMに基づく「診療ガイドライン」も作成されてきた。
 一方、近年では医療を「規格」化していくEBMだけでは足りないという考え方から、医療者が患者と対話し、病気の背景にある一人ひとりの「物語」を理解したうえでともに最適な治療を作り上げるというNBM(物語に基づく医療)も唱えられている。NBMにおいては、患者とひんぱんに接し、悩みや相談を受けやすい看護師のはたらきが特に重要である。

■HIV(Human Immunodeficiency Virus):ヒト免疫不全ウイルス
■AIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome):後天性免疫不全症候群

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とはヒトの免疫の低下を引き起こすウイルスそのものを指す。AIDS(後天性免疫不全症候群)とは、性行為や不適切な輸血によってHIVウイルスに感染することで免疫力が低下し、最終的にさまざまな症状が現れてしまう状態。現在は複数の医薬品を使ってHIVの増殖を抑える治療法が確立したことで、「死の病気」から「生涯つきあっていく病気」へと変化してきている。しかし、HIVは変異しやすく、これまでのところ決定的なエイズワクチンは開発されていない。

■クオリティ・オブ・ライフ

 ただ病気が治ればよい、命が延びればよい、というのではなく患者が自分らしい充実した生活を送れることを重視しようという考え方。現在では、治療法や手術の方法を選択するさいにも、単に病気が治るかどうかだけでなく、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)も十分に考慮されるようになってきた。

■合計特殊出生率

 ごくおおざっぱに言えば、「女性が一生の間に産む子供の平均人数」。合計特殊出生率は2005年に1.26まで低下。それ以後は1.3台を回復している(2009年は1.37)が、少子化傾向にはまったく歯止めがかかっていない。今後、長期にわたって日本の人口は減少し続けることになる。

■高齢化率

 65歳以上の人口が総人口に占める割合。現在の日本の高齢化率は約23%である(2010年9月現在)。なお、一般に高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」といい、14%を超えると「高齢社会」という。さらに21%を超えると「超高齢社会」と呼ぶことがある。これらの分類にしたがえば、現在の日本はすでに「超高齢社会」に達している。。

■再生医療
■iPS細胞

 再生医療とは、ヒトの細胞や遺伝子から組織や臓器を作りだし、治療に活用する医療のこと。再生医療にはどんな組織にも育つ「万能細胞」が使われる。万能細胞としては、受精卵から取り出した胚性幹細胞(ES細胞)がまず注目を集めたが、ES細胞は受精卵を壊して作る点が倫理的な問題にふれた。2006年以降、患者の体細胞由来の万能細胞(iPS細胞/人工多能性幹細胞)を作る技術が登場(京都大学の山中伸弥教授のチームが先陣を切った)し、いま世界中で研究が進められている。

■自殺対策基本法

 2006年施行。この法律は「自殺は個人的な問題としてのみとらえられるべきものではない」とし、自殺防止において国や地方自治体、企業などが果たすべき役割をはっきり示している。2009年のわが国の自殺者数は3万2845人(男2万3472人、女9373人)で、12年連続で3万人を超えた。

■社会的入院

 慢性病などで病状が安定しており、本来は入院治療を受ける必要がないのに、病院や診療所に入院し続けていること。自宅に介護者がいない、入居できる福祉施設がないなど「社会的な理由」による入院という意味。

■児童虐待

 親など保護者やその同居人が児童に虐待を加えること。身体的な虐待だけでなく、食事を与えないなどのネグレクト(育児放棄)、性的虐待、心理的な虐待なども含む。全国の児童相談所が2009年度に対応した児童虐待は約4万4200件で過去最多となっている。

■受動喫煙(passive smoking)

 たばこを吸う人の周りにいる人が、煙を吸わされること。本人は喫煙しなくても、受動喫煙による被害がかなりあることがわかっている。受動喫煙の防止を法的に義務付ける健康増進法(2003年)の施行以来、公共機関での受動喫煙防止策(禁煙化や分煙化)が着実に進められてきた。

■セカンドオピニオン

 患者が治療法や闘病方針を決めるさい、判断材料とするために聞く主治医以外の医師の意見。

■臓器移植法

 日本では1997年に成立した臓器移植法では、臓器移植を行う場合に限って脳死を「人の死」と認め、脳死者からの臓器移植を認めた。しかし、同法の施行以後も、脳死判定までの条件が非常に厳しかったことから脳死者からの臓器提供件数はきわめて少ないままだった。また、15歳未満の臓器提供が認められず、海外に渡る小児患者が後を絶たなかった。  2009年には(1)本人の意思がわからない場合は、家族の同意だけで移植を可能とする(2)15歳未満の臓器提供を認めるなどの内容を盛り込んだ改正臓器移植法が成立し、2010年に施行された。改正法施行後、臓器移植件数は増加している。

■尊厳死
■安楽死

 尊厳死とは、回復の見込みがない状態で無理な延命処置をせず、人間としての尊厳を保ったまま死を迎えること。近年は、「尊厳死」を望むリビング・ウィル(生前の意思表示)を宣言する人も増えている。一方、安楽死とは、死に瀕した患者を苦痛から解放するために意図的に死を早めること。

■代替医療

 「近代西洋医学にもとづいた通常医療の代わりに用いられる医療」の意。具体的には、漢方や鍼灸など東洋医学系の薬・治療法の体系や、カイロプラクティックなどのさまざまな民間療法が含まれる。

■待機児童

 認可保育所に入所申請しているにも関わらず、定員超過のために入所できない児童のこと。少子化の進展にもかかわらず、共働き世帯が増加し、保育サービスに対するニーズはかえって増えているので待機児童は深刻な問題に。とくに2008年秋以来の不況下で、家計を助けるために就業しようと考える母親が増えたため、大都市圏における待機児童の数は激増した。

■代理出産
■卵子提供

 妻に子宮がなく妊娠できない場合、夫婦の受精卵を第三者の女性の子宮に移植して妊娠・出産してもらうこと。いまのところ日本では容認されていない。なお、「卵子提供」(卵子提供者の卵子と夫の精子を受精させて妻の子宮に戻す方法)については、2009年、日本生殖医学会などが容認する方針を示したが、法整備はこれから。

■ターミナルケア
■ホスピス

 がんの末期など死が間近に迫った人(やその家族)に対する、身体・精神両面でのケア。延命のための治療よりも、苦痛や恐怖の緩和を重視する。(「緩和ケア」ということばもほぼ同じような意味である。)ホスピスも末期患者に対するケアを指す言葉であり、一般に終末期医療(緩和ケア)を専門的に行う施設と理解されるが、もともとは「施設」ではなくケアそのものを指す。

■着床前診断/受精卵診断

 不妊治療の技術である体外受精を利用し、染色体や遺伝子の異常などを検査して多数の受精卵から問題のない受精卵だけを選んで着床させる技術。遺伝病の診断よりも、不妊治療で妊娠しやすい受精卵を選ぶのに有効な技術という面もある。異常があった受精卵は廃棄されるため「命の選別」にあたるという批判が根強く、日本産科婦人科学会は着床前診断の実施条件をかなり厳しく制限している。

■認知症

 会話や認識、手順を踏む作業が難しくなるなど、認知障害が長い時間をかけて進行する病気。以前は「痴呆」と呼ばれていたが、これには蔑視的な意味が含まれ、早期発見や早期診断を妨げる要因になっているのではないかという考えから「認知症」と呼びかえられた。社会の高齢化にともない認知症の高齢者は激増していく。患者と家族を社会的に支えていく態勢を早急に確立していかなくてはならない。

■脳死

 頭部外傷や脳卒中などで脳幹・大脳など脳全体の機能が失われ、二度と回復しない状態。呼吸をつかさどる脳幹の働きが失われると当然心臓も止まる(=心臓死)が、人工呼吸器の出現により、脳幹の働きが失われても機械の力で呼吸させ血液循環を保つことが可能になった。これが脳死である。

■ノーマライゼーション

 障害者も健常者も、高齢者も若者も、すべて人間として普通の生活を送り、ともに助け合って暮らす社会こそノーマル(ふつう・正常)だとする考え方。高齢者・障害者を特別視せず、一つの個性・特徴の持主としてとらえる。

■発達障害(Developmental Disorder)

 人間の発達段階で生じたさまざまな脳の機能障害を指し、具体的には自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などが含まれる。近年では、不登校の子ども、引きこもりの若者の中に発達障害が疑われるケースが多いこともわかってきた。2005年には発達障害者支援法が施行され、発達障害児の早期発見と適切な支援が目指されている。

■バリアフリー

 障害者や高齢者が社会参加するうえで、障害(バリア)となるものが取り除かれること。バリアフリーというと、建物や道路の段差をなくすなど「物理的なバリア」をまず思い浮かるが、その他に制度的・心理的なバリアの除去も含む。

■プライマリ・ケア

 初期医療。専門的な治療を行う前に、初期の段階で患者の心身を総合的にみて健康状態を把握したり、一時的な処置を行うこと。イギリスでは、プライマリ・ケアを担う医師の紹介がなければ、専門的な診察・治療は受けられない。こうした制度は多くの国で採用されている。最近は日本でも、先端的な治療を行う専門医と、初期医療を担う家庭医・総合医がはっきり役割を分担することで医療全体の効率を高めようという考え方が強まっている。

■メタボリック症候群

 内臓に脂肪がたまり、さらに高血圧、高血糖なども重なって心疾患などのおそれが高まっている状態のこと。2005年に診断基準が発表されて以来、社会的に注目されるようになった。2006年に厚生労働省が発表した調査結果によると40代以上の男性の半数以上がメタボリック症候群かその「予備群」に相当するという。2008年からはメタボリック症候群の早期発見、指導を義務付ける特定健診・保健指導制度がスタートしている。

■老老介護

 高齢者が高齢者の介護をしていること。高齢化の進展により、このようなケースが非常に増えてきた。また老老介護の増加に伴い、認知症の高齢者を介護する高齢者自身が認知症を患い、適切な介護が出来なくなる「認認介護」も増えており、対応が迫られている。

■ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)

 仕事以外の時間を重視し、誰もが働きやすくバランスのとれた生活を送れるようにしようという考え方。これを進めることが女性や高齢者などさまざまな人材の就労と活躍を促すことになり、また生産性の向上にもつながると期待される。とくに少子化が進みつつあるなか、「育児と仕事が無理なく両立できる社会」を築いていかなくてはならないという認識が背景にある。



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